社会保険 直方病院

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骨粗鬆症センター

骨粗鬆症センター開設のご報告・お願い

社会保険直方病院 骨粗鬆症センター開設のご報告ならびに骨粗鬆症ネットワークの構築に関するお願い
~~ 新しい骨粗鬆症診療の時代に向けて ~~

社会保険直方病院  整形外科  西田 智

 現在、骨粗鬆症患者はおおよそ1280万人と言われ、男性は300万人、女性は980万人と推定されております。さらに、骨粗鬆症患者の発生数は年間約97万人と言われています。2001年、強力な治療薬であるビスフォスフォネート剤が発売され、以後、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレーター)、PTH製剤(副甲状腺ホルモン)や抗RANKL抗体(破骨細胞分化誘導因子RANKLに対する抗体)など様々な薬剤が登場しています。これらの強力な治療薬により、大腿骨近位部骨折に関して、諸外国のほとんどで患者数が減少しています。しかし、日本は依然として増加しており、年間約15万人にのぼります。脊椎圧迫骨折は統計がありませんが、それ以上です。今なお減少しない理由として、約200万人しか医療機関を受診していないこと、検診率が5%にも満たないことなど、治療が十分になされていないからだと言われています。

 現在、全国平均では65歳以上の高齢者が23%ほどですが、この直方鞍手圏域は28%を超え、10年以上高齢化が進んでいるようです。骨密度が異常に低値を示す患者様もかなりいらっしゃいます。このような高齢者が、治療を受けないまま転倒されて、骨折し受診する場合が多く、一人でもこのようなアンハッピーな方を少なくしたいとの思いで、骨粗鬆症センターを立ち上げました。

 骨粗鬆症とは、“低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である”とWHOで定義されています。簡単に言えば、“骨密度が減って骨が折れやすくなること”を骨粗鬆症と呼んでいました。骨密度が低い人が骨折するのはわかりますが、なかには骨密度が高くても骨折する人がいます。そこで、骨粗鬆症は骨密度だけでは説明できないとする考えがでてきました。骨密度以外にも多様な骨折危険因子の存在が明らかになり、現在は、“骨粗鬆症とは、骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患”とされています。骨強度(骨の折れにくさ)とは、骨密度+骨質で表され、おおよそ骨密度が70%、骨質が30%関与していると考えられています。この骨質の低下に関与するのが生活習慣病だといわれ、近年、骨粗鬆症と生活習慣病との関連が示されております。骨は鉄筋に相当するコラーゲンとコンクリートに相当するミネラル成分からなっています。コラーゲンは、骨強度に大きく寄与しています。コラーゲンの強度を規定しているのが、隣接するコラーゲン同士をつなぎ止める構造体であるコラーゲン架橋です。加齢に伴い、コラーゲンは減少し、コラーゲン架橋が悪玉化します。悪玉コラーゲン架橋は酸化や糖化で増加し、コラーゲン繊維を脆弱化させます。悪玉コラーゲン架橋化を促進する因子として、加齢、酸化ストレスの増大、糖化反応の亢進(持続的高血糖)などがあげられます。酸化ストレスを高める要因として、加齢、閉経、生活習慣病因子(動脈硬化、血中ホモシステイン高値、糖尿病、慢性腎臓病)があげられています。さらに、ビタミンDやビタミンK不足も骨基質を変化させます。すなわち、糖尿病、高血圧、脂質異常症、慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患などを患っている患者様は骨粗鬆症を併発している可能性が非常に高いということです。糖尿病患者は2210万人、高血圧は3900万人、脂質異常症は2200万人、慢性腎臓病は2000万人とも言われています。

 糖尿病では、高血糖状態で蓄積される終末酸化産物(AGEs)がコラーゲン架橋の質的量的変化や骨芽細胞機能異常をきたすことから骨強度を低下させます。さらに、ビタミンB6欠乏に伴うホモシステインの増加は、炎症や酸化ストレスの亢進を介して骨脆弱性へ関与しています。糖尿病があるだけで、大腿骨近位部骨折のリスクは非糖尿病患者の1.4~1.7倍ともいわれています。

 脂質異常症では、酸化LDL(悪玉コレステロール)が骨形成の抑制に作用している可能性があります。中性脂肪が高いと骨密度が低いというデータもあります。

 慢性腎臓病(CKD)では、ビタミンDの活性化障害が生じ、ホモシステインや酸化ストレスが増加することから、骨の脆弱性に関与しているといわれています。

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、慢性炎症、喫煙、低体重、低酸素血症、ビタミンD不足、ステロイド使用などの関与が考えられています。

 さらに、ビタミンDやビタミンK不足も骨基質を変化させます。

 また、微細構造、骨代謝回転(骨リモデリングの亢進によって惹起される構造劣化や二次石灰化度の低下だけでなく、骨基質の性状の変化も関与)、微小骨折、石灰化などが関与しているとも言われています。

 このようなことから、骨粗鬆症治療はもはや整形外科だけで行うのではなく、全ての科の先生方と一緒に治療を行っていく必要があると思われます。そこで、先生方の医療機関を受診されている患者様で、骨粗鬆症治療が必要だと思われる患者様を御紹介頂き、骨粗鬆症センターで骨粗鬆症の程度・状態を調べ、適切な薬剤を選択し、生活指導および転倒予防指導を行います。そして、先生方のところで継続して薬剤を処方していただき、生活指導などの継続も行っていただく骨粗鬆症ネットワークの構築が必要だと考えています。4-6カ月に一度、再度ご紹介頂き再評価させて頂くシステムです。このことにより、治療から脱落する患者様の減少にもつながると考えております。このように当地域全体で、高齢者医療に立ち向かっていければと考えております。ご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

 尚、骨粗鬆症専門外来を火曜日と木曜日の14時から16時といたしますので、この時間帯に御紹介頂けると幸いです。

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